運動会や試合で、あと一歩のところで追いつけなかった。
ボールに届かない、相手に先を越される、抜かれてしまう。
ほんの0.1秒の差が、試合の流れを左右します。
- 小学校の運動会でかけっこ1番を目指す子ども。
- 中高生で部活の試合で活躍したい選手。
- トップアスリートを目指す競技者。
どのレベルでも「足が速い」という武器は、間違いなく有利です。
そして、その速さは「才能」ではなく「作れる能力」です。
ここでは、走りの仕組みと具体的なトレーニング方法を解説します。
自己紹介

努力と根性だけで大学野球明治神宮大会の4番打者に登りつめた元肥満体型の私。プロ入り選手の「疲れない・痩せている・上達が早い」という特徴に衝撃を受け、引退後、医療従事者の妻と出会い、身体構造と運動機能を学びました。その秘密が骨盤を土台とする構造にあることに気づき、『疲れず、痩せて、上手くなる』をテーマに情報を発信中です。
足が速いことは才能ではなく「作れる能力」
まず押さえておきたいのは、「速く走る才能」は生まれつきではない ということです。
確かに遺伝的な筋肉の質や骨格の形状は影響しますが、小学生〜中学生の成長期に正しい体の使い方を学べば、速さは伸びます。
ランニングとスプリントの違いを理解する

ランニングとスプリントは違います。簡単に言うと、
- ランニング:接地時間が長く、足で地面を掻いて走る動き
- スプリント:接地時間を極限まで短くし、地面の反発で走る動き
になります。
私たちは基本的に陸上競技に取り組まない限り、走り方を指導される機会はほとんどありませんので、このランニング走法で力一杯走っている状況になります。

つまり、スプリント走法は、地面を足で掻くのではなく、足で地面を押して地面反発で足の入れ替えを行う必要があります。指導の現場ではランニング走法でがむしゃらに「もっと腕を振れ」「足を動かせ」と言いがちですが、実は
地面に接地する時間の短さ
こそがスピードの鍵なのです。
速さを作る具体的なトレーニング方法
スプリント走法の第一歩「ベースポジション」を作る

ベースポジションとは、走りの起点となるポジションのことで、この姿勢を繰り返しながら足の入れ替えを行うことがスプリント走法の第一歩となります。
ベースポジションをキープすることで、
- まっすぐな姿勢の維持力
- 片足のバランス力
- 足を高い位置でキープさせる筋力
が養われます。
まずは、
- ベースポジションキープ20秒×2セット
- 大きくスキップして地面をつま先で押す感覚を掴みながら、動きの中でベースポジションを作る
- 小さく速いスキップでベースポジションでの足の入れ替えを意識する
トレーニングがおすすめです。
地面反発を利用するために足首を固める

足の速い選手は足の裏全体で地面を掻くのではなく、つま先で真下に押しつけるように接地していて、その反発力で走っています。
これを習得するためには、足首を固める必要があります。足首を固めるとアキレス腱が固い状態で地面と接地するので、バネが使えるようになります。
子供などに指導する際にも「地面を蹴る」よりも「押す」という表現を使うと、子どもがバネのような走りをイメージしやすくなります。
また、足首を瞬間的に固めるイメージを作るには縄跳びもおすすめです。
体幹を安定させるためのYポジション

スプリントは、足から頭までまっすぐの姿勢を取る必要があります。理由としては、
- 足の接地時間を効率的に短縮できる
- 上体の重さを地面反発に活用できる
- 地面反力を効率的に受け取ることができる
というものです。
そしてYポジションは、
- 上半身の動きを制限して下半身の動きに集中させることができる
- 重心を高く保つことができ、上半身をまっすぐの姿勢で固定して走るので体幹強化に繋がる
というメリットがあります。
まずは、Yポジションをキープしながらベースポジションを意識したミニハードルでのトレーニングがおすすめです。
足が速い選手が将来的にも有利な理由
私は全国大会に出場するレベルの大学で野球をやっていました。その中でもプロ野球や社会人野球のステージまで登った選手は足が速いという特徴がありました。
足が速いというのは、どのスポーツでも有利なのは想像が付くと思います。野球で言うと、
- ゴロを転がすだけでヒットになる可能性が増える
- 盗塁で相手ピッチャーにプレッシャーを与えることができる
- 守備範囲が広い
などメリットが多いからです。しかし、ここで言う将来的に有利な理由は別にあると思っています。
地面反力を使える選手が将来的に有利

基本的に足が速い選手というのは、地面反力を使って走っている選手が多いです。(例外的に筋力で速い選手もいますが)このような選手は、スポーツ動作において地面反力を利用するのが上手いです。
私の経験によると、地面反力をうまく利用できる選手は、力みがないのに
- 肩が強い(投球動作で地面反力を使っている)
- バッティングにおいてもパンチ力がある
- 筋力トレーニングでバーベルを効率良く上げる
- 怪我しにくい
といった特徴がありました。
つまり、複雑な運動動作にも地面反力を使い、効率良く対応できるのです。そして、この地面反力の感覚を掴む為にスプリント走法を取り入れることが
- 足が速くなり、競技でも活躍するチャンスが生まれる
- 地面反力の感覚が養い、複雑な運動動作にも応用できるようになる
- 無駄な力みなく力を効率的に使えるので怪我のリスクや身体への負荷が減る
ということに繋がり、スポーツをする上で将来的に有利になるのです。
身体構造を整えること(骨盤のポジション)が速さの土台

足の速い選手の特徴は、
- 骨盤が立っている(中立位をキープできている)
- 背骨が真っ直ぐの状態をキープできている
- 肩甲骨が丸まっていない
など、とにかく姿勢が良く、身体機能を限りなく発揮できる状態であることは、世界陸上に出場する選手達の立ち姿を見れば一目瞭然です。
技術的なことはもちろん大切になりますが、根本である身体機能(骨盤、背骨、肩甲骨)を整え、これらを発揮させることにも着目する必要があります。
まとめ 速さは才能ではなくトレーニングで作れる
今回は、「足の速さは将来的に有利、足の速さは作れる」という内容でしたが、まとめると、
- 足を速くするにはスプリント走法を理解する
- 「ベースポジション」「足首を固める」「Yポジション」で地面反力を利用した効率の良いスプリント走法を手に入れる
- 足が速いと将来的に有利な理由は、「競技での戦略のレパートリー、活躍する場が増える」「地面反力を理解することで複雑な動きに対し、力みなく効率的に応用できるようになる」
- スプリント走法を習得する上で大切なのはやはり身体機能(骨盤、背骨、肩甲骨)を整え、これらを発揮させる準備が重要
という内容でした。私も現役時代は足で地面を掻いてがむしゃらに走っていましたが、スプリント走法を意識してからは、短距離走での身体の負担は大幅に減少、地面反力を意識してからスポーツ全般の上達スピードが上がりました。
今回の記事をぜひ参考にして頂いて、高みを目指していきましょう。